
今回は、TOMIXのキハ120形を紹介します。
JR西日本がローカル線向けに開発したキハ120形は、全長16メートルのコンパクトな気動車です。模型でもその小柄な車体を生かし、小さなレイアウトや短いホームのローカル駅によく似合います。
また、TOMIX製品はハイグレードモデルではない通常製品ながら、ほかの車両にはあまり見られない仕様を採用しています。車体各部の表現や模型ならではの特徴を、詳しく見ていきましょう。
JR西日本のローカル線を支える小型気動車キハ120形



キハ120形は、国鉄から引き継いだキハ20系・キハ35系・キハ45系・キハ58系などの置き換えと、地方交通線の活性化を目的に開発されたJR西日本の小型気動車です。
1992年から1996年にかけて89両が製造され、山陰東部を除くJR西日本管内の非電化路線へ広く導入されました。新潟鐵工所が地方鉄道向けに展開していた「NDCシリーズ」をベースとしており、全長約16.3メートルの小柄な車体と両運転台構造を採用しています。ワンマン運転にも対応し、単行から数両を連結した編成まで、利用状況に応じた柔軟な運用が可能です。
製造時期によって仕様が異なり、最初に登場した200番台は普通鋼製車体とセミクロスシートを採用しました。続いて登場した0番台はステンレス製車体となり、車内はロングシートに変更されています。最後に製造された300番台は、0番台と同様のステンレス製車体を持ちながら、セミクロスシートへ戻されたタイプです。
車体の塗装は配置された地域や路線によって異なり、関西本線・高山本線・大糸線・木次線・芸備線など、それぞれの地域に合わせた多彩なカラーリングが見られました。普通鋼製の200番台は、後年になって多くの車両が朱色5号の単色塗装へ変更されています。
登場時はトイレを備えていませんでしたが、長距離利用への対応として2007年までに全車へトイレが設置されました。さらに2017年度からは安全性と快適性を高めるリニューアル工事が始まり、前照灯のLED化やフォグランプの追加、車内照明のLED化、ドアチャイムの設置などが行われています。
地域ごとに異なる姿を見せながら、キハ120形は現在もJR西日本のローカル線を支える車両として活躍を続けています。
ラインナップ
TOMIXのキハ120形は、基本的に動力車とトレーラー車を各1両収録した2両セットで発売されています。単行運転にも対応できるほか、2両編成で走らせることもできます。
製品は関西本線・高山本線・大糸線・木次線など、各線区で活躍する地域色ごとに展開されています。同じキハ120形でも塗装が異なるため、路線ごとの個性を楽しめるのが特徴です。
また、今回紹介する車両のように、沿線の観光PRなどに使用されたラッピング車両も限定品として製品化されています。
実車では2017年度からリニューアル工事が進められたため、模型でも前照灯や車体各部の仕様を変更したリニューアル車が順次ラインナップに加わっています。そのため、リニューアル前の製品は現在では手に入れるのが難しくなっています。
各車両のディテールをチェック
それでは車両を見ていきましょう。今回はキハ120-300形(三江線神楽号セット)を使用して紹介します。

この塗装は浜田鉄道部所属車を再現したもので、三江線の廃止後は山陰本線を中心に活躍しています。

ライト周りです。ヘッドライト・テールライトともに明るく点灯しますが、ヘッドライトには白色LEDが採用されています。気になる方はレンズにオレンジなどの色を入れると、より実感的になります。なお、前面方向幕は点灯しません。

続いて前面を見てみます。実車では渡り板に車番が表記されていますが、模型では省略されています。後述するように側面には車番が印刷されているだけに、この部分も再現されていればさらに良かったと感じます。また、前面方向幕は実車より少し奥まって見えますが、前面ガラスパーツの厚みを考えると仕方のない部分でしょう。連結器にはTNカプラーが装備されています。

側面です。この製品では車番が印刷済みとなっています。また、トイレ増設に伴って埋められた窓も銀色の塗装でしっかり再現されています。


TOMIXのキハ120形で面白いのが床板と台車の構造です。動力車・トレーラー車ともに動力仕様の床板と台車が使用されており、両者の違いはモーターとギアが組み込まれているかいないかだけとなっています。おそらくパーツを共通化することで、製造時に必要となる部品の種類を減らしているのでしょう。
その影響から動力仕様の床板は客室内へ大きく張り出しており、室内は平らな構造となっています。そのため室内表現は省略されているのは少し残念な気がします。キハ120形にはセミクロスシート車とロングシート車の両方が存在するため、共通の床板で対応できる点は生産上のメリットと言えるでしょう。
また、車体長が短いこともあり、専用の室内灯が標準装備されています。

最後に屋根上です。クーラーと換気扇カバー・アンテナ類は別パーツで表現され、ダクトは屋根と一体成形となっています。



セットに含まれるもう1両は、三江線神楽号ラッピング車です。複雑なデザインもきれいに印刷されており、きれいな仕上がりとなっています。

付属品はライトのオンオフを行うためのドライバーのみとなっています。
まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回はリニューアル前のキハ120形を紹介しましたが、とても良い完成度を持った製品です。また、本文では触れませんでしたが、半径140mmのミニカーブレールにも対応しているため、A3サイズ程度のコンパクトなレイアウトを製作してローカル線の雰囲気を楽しむのも面白いでしょう。
ラインナップも各地の地域色やラッピング車まで幅広く展開されていましたが、現在はリニューアル車への切り替えに伴い、リニューアル前の製品は生産を終了しています。今後は順次リニューアル車が発売されていくと思われますので、気長に待ちたいところですね。
それでは、皆さまも素敵な模型ライフをお楽しみください。