
今回は、TOMIXとKATOの103系を比較していきたいと思います。
両メーカーから長年にわたって製品化されてきた形式ですが、TOMIXは2010年代に大幅なリニューアルを行い、現在の仕様へと進化しました。一方、KATOは細かな仕様変更を重ねながら、基本設計を変えずに生産が続けられています。
同じ103系でありながら、設計思想や表現の方向性には違いがあり、並べてみることで見えてくる部分も少なくありません。
国鉄最大の車両数を誇った103系の中でも今回は高運転台を中心に、両社の模型を細かく見ていきましょう。
目次
TOMIX・KATO 103系の基本的なラインナップ
まずは、TOMIXとKATOからそれぞれ製品化されている103系のラインナップと、基本的な特徴を確認しておきましょう。
各製品については個別のレビュー記事も掲載していますので、あわせて参考にしていただければと思います。
TOMIX製103系
TOMIXの103系は、高運転台・低運転台をはじめ、冷房改造車など幅広いバリエーションがラインナップされています。基本構成は4両基本セットと2両増結セット、さらにサハ103の単品が用意されており、編成の自由度が高いのが特徴です。
また、ハイグレード製品という位置づけでTNカプラーが標準装備となっています。
また、西日本の更新車など、特定の線区や仕様をテーマにした製品も多く展開されており、必ずしもこの構成に当てはまらない製品も存在します。
KATO製103系
KATOの103系は、高運転台車・低運転台車の双方がラインナップされていますが、基本的には新製冷房車を中心とした展開となっています。
それとは別に、KOKUDENシリーズでは低運転台の非冷房車も製品化されており、構成をシンプルにしたセットとして、103系を気軽に楽しみたい人に向いた内容となっています。
編成は4両基本セットと3両増結セットを組み合わせる構成が基本で、こちらも線区別のセットが多数発売されています。
ディテールを比較~TOMIXとKATOの103系
では見ていきましょう。ここで使用するモデルはいずれもここの記事で紹介した103系高運転台スカイブルーの車両となります。まずは前面から。

TOMIXはさすがに彫りが細かく、テールライトの留め具までしっかり再現されています。一方のKATOは、やや古い製品ということもありモールドが少し太めですが、印象が大きく崩れているわけではなく、これはこれで良好な仕上がりだと思います。
前面の飾り帯は、TOMIXが落ち着いた銀色なのに対し、KATOはメッキ調でややギラついた印象です。
ヘッドライト・テールライトはいずれの製品も点灯します。KATOのほうがやや暗めですが、次回生産分からは麦球からLEDへ変更される予定のため、過度な心配は不要でしょう。
行先方向幕・運行番号は、TOMIXは点灯するのに対し、KATOは非点灯となっています。
屋根上のアンテナはKATOのほうがやや大きく見えますが、209系500番台ほどの大きな差は感じられません。

次は角度をつけて見てみます。
KATOはHゴムの表現がボディ側にあるため、方向幕部分に段差ができ、やや奥まって見えます。一方、TOMIXもHゴム表現自体はボディ側ですが、方向幕や運行番号を別パーツの差し込み式とすることで、段差の少ない自然な仕上がりになっています。
ここで注目したいのが連結器周りです。
どちらも配管が再現されていますが、KATOは一体成型のモールドなのに対し、TOMIXは細い管1本1本が独立しており、非常に精密です。さらにTOMIXでは乗務員ステップも再現されています。
なお、KATOでも近年の製品では乗務員ステップを再現しているものがあるため、このあたりは設計年代の差を感じる部分と言えるでしょう。

パンタグラフ周りの屋根を見てみます。
まず目につくのは屋根色の違いです。KATOは明るいグレーの単色で、ベンチレーターも同色なのに対し、TOMIXは屋根をやや暗めのグレー、ベンチレーターを明るいグレーとし、メリハリのある表現になっています。
また、KATOではクーラーや避雷器が屋根との一体成型となっていますが、TOMIXでは別パーツ化されており、立体感の違いがはっきりと分かります。








次は側面を見ていきます。
まず目につくのはルーバーの配置です。TOMIXは車種ごとに正確に再現されていますが、KATOはモハ・サハが共通形状となっています。金型流用によるものと思われますが、やはり設計の古さを感じるポイントです。
非常用ドアコックの表現にも違いがありますが、これはプロトタイプの違いによるもので、どちらの形状も実車に存在します。
表記類については、TOMIXは転写シートによる選択式(写真のJRマークは転写しました)で、所属表記などは収録されていません。そのため、再現したい場合は別途用意する必要があります。
一方、KATOはすべて印刷済みですが、セット単位で同一車番となっているため、気になる場合は変更が必要です。また、路線特定のない製品では所属表記が「関スイ」となっている点も、人によっては気になるかもしれません。
床下機器については、TOMIX・KATOともに表現方法の違いこそあるものの、いずれも細かく再現されています。
特にKATOは、設計の古い製品であることを考えると非常によくできており、今見ても見劣りしない仕上がりだと感じます。

台車についても、どちらの製品も彫りが細かく、実感的に再現されています。
ただしKATOの台車は、表面にややざらつきがあり、細部まで金型の仕上げが行き届いていないように感じられる部分があります。
また、KATOではモハとクハ・サハの台車がすべて同一(サハ・クハの台車がモデル)となっているのに対し、TOMIXでは2種類に台車の作り分けが行われています。
さらにTOMIXでは、台車排障器が別パーツとして用意され、後付けで取り付けられる点も特徴です。

ドア窓周りではHゴム表現の違いが見られます。
TOMIXは窓パーツ側にHゴムを表現しており、すっきりとした印象です。一方、KATOはボディ側に表現されているため、窓とボディの間にわずかな段差が生じています。これも設計の古さによる部分で、同社の101系や115系では窓パーツ側表現に改められているため、将来的なリニューアルに期待したいところです。

妻面と連結器周りを見てみます。
TOMIXは妻窓にガラスパーツが入り、幌も装備されていますが、KATOはそれらが省略されたシンプルな構成となっています。
連結器については、TOMIXはハイグレード製品標準のボディマウントTNカプラーを装備しています。なお、最近の製品では中間車の連結器周りにも、先頭車と同様の配管パーツが取り付けられているようです。
一方、KATOは写真の京浜東北線セットではKATOカプラーを装備していますが、路線特定のない通常製品ではアーノルドカプラーが標準となっています。いずれの場合も、連結器は台車マウントとなっています。

車高に関しては、TOMIX・KATOともに大きな違いは見られません。以前に比較した209系500番台では車高差が顕著でしたが、KATOの103系はサスペンション機構が搭載されるよりもかなり前に設計された製品のため、結果として両社の差が小さくなっているように感じます。
写真ではやや分かりにくい部分ですが、今回比較に用いたスカイブルーの色味については、KATOのほうがやや暗めの発色となっています。TOMIXのほうが、比較的実車のイメージに近い色合いと感じられます。
TOMIXとKATO、比較して見えた103系の方向性

いかがでしたでしょうか。
多くの103系が引退した現在、模型メーカーにおける103系の捉え方にも変化が見られるように感じます。KATOが引き続き扱いやすさを重視し、比較的導入しやすい価格帯で製品展開を続けているのに対し、TOMIXはリニューアル後から、よりディテールに踏み込んだ模型づくりを目指しているように見えます。今回の比較を通しても、その方向性の違いがよく表れていたのではないでしょうか。
ただ、ここまで比較してきてあらためて感じるのは、「KATOの本気の103系」も一度見てみたいという点です。101系や115系では、Hゴムの表現や前面行先表示の点灯化、別パーツ化などが行われていることを考えると、103系でもまったく新しいアプローチの製品が登場する可能性は十分にありそうです。
もちろん、現行のKATO製103系が劣っているということではなく、長年使われてきた金型でここまでの完成度を保っている点は評価できる部分です。仮にリニューアル製品が登場したとしても、並行して展開できるだけの魅力はあると感じます。
本記事での比較が、模型の103系を選ぶ際のひとつの参考になれば幸いです。


